研究会資料
第三回研究会 印東 道子

海域世界への移動:拡散と出会いを開きます。
6枚
海域世界への移動:拡散と出会い

印東道子
国立民族学博物館
登録者:staff | 2010/12/22

海域世界への移動:拡散と出会い - 第三回研究会 - 印東道子

01s アフリカで誕生した現生人類は、アジア大陸を西から東へと移動し、さらに海を渡って広いオセアニア地域の島々のほとんどに拡散しました。その移動の様子と背景をみていきます。 

02s オセアニアは人類の移動の歴史と地理的条件によって、二つの地域に分けられます。

(1) 旧石器文化をもった人々が5万年前~1万年に移動した地域 (=ニア・オセアニア)
(2) 新石器文化を持ったアジア集団が3300年前以降に移住した地域(=リモート・オセアニア)

03s 更新世後期に海面が100メートル以上も低下したため、現在は海中に沈んでいる部分が陸地となりました。
 ・ スンダランド(陸続きになった東南アジア島嶼部)
 ・ サフル大陸(陸続きになったニューギニアとオーストラリア)

 現在と同じ海岸線になったのは、ほんの8000年前のことでした。 

04s  人類は、4~5万年前には、海を渡ってサフル大陸へと渡りました。赤丸は、4万年~4万5千年前の遺跡の位置を示しています。文化的には旧石器文化を持った採集狩猟で生活していた人たちでした。
 2~3万年前には、さらにニューギニア北東の島々へも海を越えて渡っていきました(ニア・オセアニア)。

05s  今から3300年前頃に、東南アジア島嶼部から新石器文化をもった人たちが、オセアニアの島嶼部に移動してきてきました。
 これは、土器や裁培植物、家畜を持った人たちで、オーストロネシア諸語を話していたと考えられます。
 土器には細かい刺突文様がほどこされ、ラピタ土器と呼ばれています。この土器が見つかる島をたどると、速いスピードでメラネシアからポリネシアの西部まで移動した様子がわかります。

06s  オセアニアへ移動した人々の移動の仕方について、様々なモデルが提供されてきました。
 現在もっとも支持を得ているのがトリプル I モデルです。
 新しい人間集団がオセアニア地域に移動してきて(Intrusion)、新たな環境や資源状況に合わせて新しい資源利用法などを編みだし (Innovation)、更新世代からいた先住の旧石器文化集団とも交流し、その文化を取り入れた(Integration)とする説です。


関連リンク |  このサイトについて