研究会資料
第六回研究会 - 松本晶子

第六回研究会 - 松本晶子を開きます。
9枚
第六回研究会 - 松本晶子

ヒヒのサバンナへの進出とその移動 :地上性と季節性への適応

松本晶子(琉球大学)
登録者:staff | 2011/06/17

ヒヒのサバンナへの進出とその移動… - 第六回研究会 - 松本 晶子

1s 人類進化の過程で、ヒトは乾期と雨期が明確なサバンナ(参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%90%E3%83%8A%E6%B0%97%E5%80%99)へ進出した。
サバンナに適応している現生霊長類からの情報は、当時の生活について私たちにいくつかの手がかりを与えてくれる。

2s 気候の変わり目に新しい種は出現することが多かったようだ。
乾燥化の時期に出現した種の一部は、乾燥化によって拡大したサバンナに進出することで生息ニッチを獲得したのだろう。
樹冠がつながっていないので、サバンナに進出するということは、必然的に地上性であることを意味する。

3s 地上性だと捕食される危険性が高まるため、捕食者対策が必要になる。

4s ヒヒは、体を大きくすること、群れサイズを大きくすることで捕食者に対抗してきたようだ。
1: Rowe 1996
2: Freagle 1999
3: Chism & Rowell 1988
4: Cohen 1969

5s サバンナヒヒ(アヌビス、キイロ、ギニア、チャクマ)は,生息域を分けてアフリカ大陸に広く分布している。
社会構造は多様で、複雄複雌群れを作るものが多いものの、ゲラダ属やハマドリアスヒヒは単雄群を作る。

6s ヒヒの多様な社会構造は、昼行性捕食者と夜行性捕食者への対策から説明できるかもしれない。
夜行性捕食者(ヒョウ、ライオン)に対して、泊まり場の群れサイズを大きくして対抗する。ゲラダやマントヒヒは夜になると複数のユニットが集まる。
昼行性捕食者(猛禽類、ライオン、ヒト?)に対抗して、サバンナヒヒは昼の群れサイズも大きくしたのかもしれない。
ただし、猛禽類にとってはヒトは被食者には大きすぎるので、ヒトをねらう昼行性捕食者は多くはなかっただろう。

7s サバンナで生活する上で最も重要なことは乾期をどう生きのびるかということである。
ある時間帯に水場を訪れる移動ルートを作らなくてはならない。
水場が限られる乾期には、雨期より広いエリアを利用する。

8s 大きな体 、大きな群れで生きていくためには、食物に対する柔軟性が必要である。
なぜなら、体が大きいほど必要なエネルギーが多くなるうえに、サバンナでは場所場所で環境が異なるため食物が違うからだ。
a: サボテンの果実
b: サボテンの葉
c: アカシアに住むアリ
d: アカシアのガム
e: アカシアの種子
f: ウサギ
g: トカゲ
h: キノコ
i: ユリ科の花
j: アカシアの花
また、森林を出ないチンパンジーが熟果に依存するのに対し、ヒヒは未熟果も採食する(AMO 2000)。

9s


関連リンク |  このサイトについて